プログラム科目整形外科・リウマチ科

診療部長

宗圓 聰

指導医

  • 宗圓 聰 教授
  • 神谷正人 准教授
  • 上野貢生 講師
  • 山崎顕二 診療講師
  • 岸本英樹 診療助教

診療実績

整形外科疾患全般を取り扱う。リウマチ科も標榜しているため、関節リウマチを含むリウマチ性疾患患者が多いが、一方で、救急患者の受け入れも積極的に行っており、さらに救命救急センターが併設されているため外傷患者も多い。

外来患者数は1日平均130、入院患者数は1日平均30、年間手術件数は350である。手術の内訳は、変性疾患:120、外傷:190、腫瘍:30、その他:10であり、整形外科で扱う疾患をほぼ均等に網羅している。なお、急性期病院に指定されており、平均在院日数を短縮する目的でクリニカルパスを積極的に使用しており、入退院の回転が早いため平均入院患者数は比較的少ない。

検査機器、手術機器については、最新の機器を揃えており、例えば骨密度測定機器では全身用二重エネルギーX線計測装置と末梢定量的CT測定装置を備えている全国でも数少ない施設の一つである。また、関節鏡視下手術に際してのレーザー機器も備えており、出血を最小限にした手術が可能である。

認定施設

日本整形外科学会研修施設、日本リウマチ学会教育施設に認定されている。これらはいずれも学会専門医資格を得るために必要な教育研修機関としての認定資格である。

入局後の勤務予定

  • 初期2年は基本的には後期研修の研修医と位置づける。
  • すなわち、外来においては新患の予診、検査オーダ、処置(各種注射手技、徒手整復手技、ギプス手技など)に習熟するとともに、画像診断を含む鑑別診断技術の習得、治療方針の立案の習得を目的とし、外来時間中は空いている日は全て外来に居てもらう(最低週3日)。ただし、実際の外来診療については半年ないし1年後より開始してもらう。
  • 入院診療については、5人前後の受け持ち医となって指導医の元で入院患者の病歴聴取、現症のチェック、検査、治療計画の作成、手術適応と手術方法の選択、患者に対する説明、神経根ブロック等の処置、などに習熟してもらう。
  • 手術については、原則的な手術日である火曜日と金曜日(外傷患者の緊急手術は適宜それ以外の日にも行っている)に受け持ち患者の手術に参加するとともに、午後は受け持ちでなくても手術に参加してもらう。解剖、各種手術器具に習熟してもらうとともに、小手術や抜釘の一部の手術を執刀してもらう。
  • 週間予定を示すが、外来、病棟、手術以外に月曜日は病棟回診に参加し、その後の入院症例検討会に参加、発表してもらう。水曜日には外来症例検討会に参加、木曜日には論文の抄読会に参加し月1回は発表してもらう。
週間予定表
  午前 午後 夕刻
外来 外来および病棟 棟回診、入院症例検討会
手術、外来 手術  
外来 検査および病棟 外来症例検討会
外来 外来および病棟 抄読会
手術、外来 手術  
外来
  • 当直については、半年後ないし1年後より月1ないし2回程度の予定である。
  • 初期2年間の研修の間に地方会などでの症例発表を最低1回は行ってもらう。
  • 2年間の後期研修期間が終了すれば、スタッフとしてさらに2年間の専門研修を行ってもらうか、大学院への入学を選択してもらう。
  •  
  • 専門研修では、外来2コマの診療を行ってもらうとともに、外来診療での独り立ちを目標に研修を行う。入院診療については初期2年間とほぼ同様の診療を行ってもらう。手術については外傷一般の手術手技を習得してもらう。また、初期2年間の後期研修医の指導も行う。さらに、この間に整形外科専門医試験の受験資格を取得するための学会発表および論文作成をしてもらう。

大学院生の臨床業務

該当なし

入局後の進路選択

学会専門医資格取得コース:原則的には日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医の資格を取得してもらう。ともに、後期研修4年終了で受験資格を得ることができる。そのためには、整形外科的疾患、リウマチ性疾患についての正しい知識の習得が不可欠であり、院内のカンファレンスならびに抄読会に出席、発表してもらうとともに、院外の講習会、研究会、学会にも積極的に参加してもらう。また、日本整形外科学会専門医の申請には各種疾患をまんべんなく受け持つ必要があり、そのように配慮する。さらに、申請に必要な学会発表と論文発表も期間内に行えるよう指導する。また、上記専門医以外のリハビリテーション、脊椎・脊髄、スポーツなどの専門医、認定医資格についても取得希望があれば取得に向けて指導する。

関連病院への就職コース:後期研修2年間を終了した後、希望があれば近畿大学医学部全体としての関連病院への就職を斡旋する。ただし、専門医資格取得以前で取得希望の場合には学会の教育研修認定施設への就職を勧める。

海外留学の可否:可能であるが、出来れば専門医資格取得後が望ましい。希望の場合には、出来るだけ早くその旨を伝えてもらえば、テーマを絞った臨床研究を行ってもらう。その上で留学をサポートするが、リウマチ関連の場合には日本リウマチ財団の海外派遣医としての留学も可能である。

論文博士取得:可能。この場合も出来るだけ早くその旨を表明してもらえば、臨床研究で博士論文に値するテーマを与え、博士号取得に向け指導する。

当科における業績

研究テーマ・実績

関節リウマチにおける関節破壊とその対策
関節リウマチに対する各種薬物療法(非ステロイド性抗炎症剤のうち特にCOX-2阻害剤、抗リウマチ剤、生物学的製剤など)の投与による効果をリウマチ本体に対する効果(各種リウマトイド因子、抗CCP抗体などの各種抗体などの測定およびX線学的な骨、軟骨破壊を指標として)や骨、軟骨代謝に対する効果(各種骨代謝マーカー、各種骨密度計測および軟骨代謝マーカーを指標として)について検討しており、国内外で研究報告を行ってきた。また、人工関節手術を中心とする手術療法の成績についても経時的に経過を追跡しており、研究発表を行ってきた。
関節リウマチの死因調査
日本リウマチ学会の調査研究委員会委員として宗圓を中心に2003年までの10年間の死亡例について全国調査を実施した。1、600例を越す死亡例を集積し、以前より死亡年齢が延長されたこと、感染症が第一死因であること、10年間を5年間ずつに分けて検討し死因が変化していること、などを明らかにした。本研究は日本リウマチ学会英文誌に掲載予定である。
骨粗鬆症の病態、診断、治療
閉経後骨粗鬆症、関節リウマチに伴う骨粗鬆症、ステロイド性骨粗鬆症などの各種骨粗鬆症の病態については骨代謝異常、骨密度把握、脆弱性骨折、ADL、QOL調査、などについての研究を行い、診断についても骨折のリスク評価による新たな診断法を検討してきた。また、治療に関しても各種薬剤の効果判定を中心に骨折予防の観点からの積極的な治療を行ってきた。これらに関しては国内外で研究報告を行ってきた。
ステロイド性骨粗鬆症の管理および治療ガイドラインの作成
日本骨代謝学会のステロイド性骨粗鬆症診断基準検討小委員会委員として宗圓を中心に国内のステロイド使用例約700例についての調査を行い、我が国では初めての管理、治療ガイドラインの作成において中心的な役割を果たした。日本骨代謝学会英文誌および日本リウマチ学会英文誌に掲載された。我が国の骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成にも携わった。
人工関節手術の臨床成績
関節リウマチのみでなく変形性関節症などに対する股関節および膝関節の人工関節置換術症例についての臨床成績を検討し国内の各種学会で研究報告を行ってきた。
多発外傷の治療
救急救命センターで取り扱う重症の外傷例に対する治療法についての研究を行ってきた。本研究成果も国内の学会で発表した。

このように、整形外科領域、リウマチ性疾患の領域において精力的に臨床研究を行い、その成果を国内外の学会で発表するとともに論文発表も行ってきた。その成果もあり、奈良県、近畿地区の研究会を主催するとともに、2004年には第14回日本リウマチ学会近畿支部学術集会を主催し、2006年には関西膝・関節鏡研究会を主催した。2010年には日本骨粗鬆症学会を主催した。

外勤について

最初の半年間はなし。半年後より当直の外勤を斡旋する。1年後より週1日の外勤を斡旋する予定である。

診療部長抱負

我々が扱うのは整形外科疾患およびリウマチ性疾患であるが、最近では運動器疾患という呼称もよく使われるようになった。運動器とは、身体活動を司る神経・筋腱・骨・関節とそれを覆う皮膚、栄養に係る血管などを総称したものである。運動器は脳を思考・命令系とすれば、その表現系に当たり、脳で発信された指令は脊髄から末梢神経を介して、筋に伝えられ、その収縮・弛緩によって関節運動を導き、身体運動として表現される。脳と運動器のいずれの機能が失われても、重大な生活機能障害を招く。

世界の医療界の動きとして、脳の10年運動(1990〜2000年)に引き続き運動器に関する疾患の予防と撲滅を目指して2000年から2010年の10年間を運動器の10年と定め国際的キャンペーンが繰り広げられている。運動器は、生涯いかなる世代においても、生き生きとした生活、つまり生活の質(QOL)を向上、維持するために不可欠、かつ最も重要な器官である。そして、運動器を扱うのが我が国では主に整形外科医であり、海外では整形外科医(主に手術のみ)とリウマチ医(主に保村的治療のみ)である。

我々の科では運動器疾患の診断、治療を行うにあたり、特に治療については保存的治療から手術療法までを一貫して行うことを目指している。整形外科医は一般的に薬物療法に疎いと言われるが、近年の高齢化社会においては薬の副作用、相互作用なども熟知する必要がある。このような観点から最新の診断機器を用いた診断の上で、最新の薬物療法、例えばモノクローナル抗体等も用いてEvidence-based Medicineに基づく最新、最良の治療を行い、手術療法についても最新、最善の手術法を行うことを当科の基本理念としている。今後はこのように最新の保存的治療、手術療法ともに精通した医師が求められることは間違いが無いと考える。

このような理想的な医師の教育に向けて当科のスタッフ自身も新たな知識、技術の習得に励んでいる。外来診療、病棟診療、手術ともに多忙であるが、診療に埋没し勉強しなければ医療技術の向上は得られないため、インターネットなどのITを駆使して新たな情報の収集、習得に努力している。

初めての新規研修制度でプライマリーケアをある程度習得した諸君が専門の科に進む訳であるが、我々の科は決して楽な科ではない。しかし、小児から高齢者まであらゆる年齢を対象として運動器疾患の治療により機能回復から日常生活障害の改善、学校、仕事、スポーツへの復帰を目指すことが可能であり、やりがいのある仕事であると自負している。是非、運動器を扱うスペシャリストを目指してもらいたい。