臨床研修について堺病院長の挨拶

スーパーローテート方式という、昨年度から初めてスタートした未だ慣れないシステムでの初期臨床研修を、どこの病院で行うかと考えておられる諸君に、本システムに対する私たち病院の考えと、現状での受け入れ態勢、そして臨床研修後の進路選択へのアドバイスもふくめて、ごく簡単に記してみます。

新しい考え方のもとに採用された、このローテート方式のめざす所は何かと一言でいうと、できるだけ広い分野にわたる基本的診療能力を、二年間で効率よく身に付けると共に、自分が将来最も進みたい分野はどこかを誤りなく探し当て見定めることだと考えています。そして、たまたま偶然ですが、私たちの病院は新制度発足の三年前から、いわゆるスーパーローテート方式での近大あるいは他学からの臨床研修医受け入れを既にやってきており、その人数は現在延べ十名に達します。この春までには、その内数名がわが病院の臨床助手として立派に巣立ち、また一名が医学部の臨床教室へ入局しました。

この三年間と新制度一年の経験から、今度の新システムは私たちの規模の病院で行われた場合には、上記の目標が達成するのに極めて適したシステムだな、という思いを強くしています。その理由は、この規模だと各診療科の間の垣根が極めて低いため、他科のドクターやコメディカルからも簡単に情報を得やすく、広い実践医学知識を身に付けやすいことがあります。また、臨床研修の途中で当初のローテート計画の一部を修正できることなど、小回りがききやすいこともあげられます。その点からは、安心して当堺病院での初期臨床研修を始めていただけるかなと思っています。

皆さんが臨床研修病院を選択する上での、もう一つ大きな心配事のひとつに、臨床研修明けの将来の進路のことがあろうかと想像します。

将来専門医の資格取得をめざす人も、学位を取りたい人も、視野の広い家庭医をめざす人も、大学に残ってがんばろうという人も、いろいろな志望の方がおられるだろうと思います。私たち堺病院の全診療科は、医学部の各臨床教室と密接な連携をずっと維持しつづけることを、開設当初から病院ぐるみで心がけてきました(もっとも、医学部附属病院には無い、心療内科というユニークな診療科も当院にはあり、この科は連携を持ちえませんが・・・)。ですから、堺病院で臨床研修をスタートした方々が、臨床研修後すぐあるいは何年か後に狭山キャンパスで存分に活躍してもらうこともできます。もちろんキャパの許すかぎり当院でがんばってさまざまな志望を実現してもらうことも、あるいは他の世界へ飛躍する進路をとることも可能です。卒後二年間という時期は、医師としての生涯を方向付ける上で、おそらく最も大切な二年間であることは間違いありません。慎重な選択のもとに、有意義な初期臨床研修をされることを切望します。

医学部六回生の皆さん、いよいよ医学生としての最終学年になり、希望に満ちた将来像を描かれながら勉学に励んでおられることと思います。同時に御自分の最終進路に関し、どの専門分野に決めるか、どの病院で夢を実現するか、未だ多くの方が迷われたり一抹の不安を抱かれているのも事実でしょう。幸い皆さんの学年より、卒業ニ年間は臨床研修医としてプライマリー・ケアを学びながらも多くの専門領域を覗くことが出来ますので、進路の決定先送りは可能です。しかし、今回決断しなければならない、"どの病院で初期臨床研修を受けるか"は、皆さんの将来に大きな影響を及ぼす重大事項であります。

私ども近畿大学医学部附属病院は以下に述べるような、理念と設備を有し、各分野に多くの優れた人 材を得、彼等の英智と献身的努力により、社会に誇れる病院として、また働きがいのある病院として、活動しています。 高度先進医療も念頭に入れた特定機能病院ではありますが、地域の基幹病院としても機能し、多くの プライマリー・ケアが学べるようになっています。

堺病院長 下村 嘉一
堺病院長 下村 嘉一