地域保健・医療は堺病院では臨床研修できないので、堺保健所、医学部公衆衛生学・衛生学講座で臨床研修を行う。
地域における第一線の医療現場は、臨床研修の目的であるプライマリーケアのまさに実践の場です。そこでは大病院にも増して全人的医療が求められますが、それを進めるためには、医療の枠にとどまっていては決定的に不十分です。医療のみならず、保健、福祉、介護の各分野で患者、家族のニーズを的確に把握し、必要な支援を円滑に進めることが必要です。そのために、地域における保健、福祉、介護の施策と資源の概要を保健所や第一線医療機関での実践を通じて習得し、地域保健・医療における医師としての役割を理解し、それを実践する能力の基礎を獲得することが本臨床研修の目標です。
下図に示す臨床研修2年目の5月から翌2月の間のいずれかの1ヵ月
| 施設名 | 定員 | 指導責任者 | 外来患者数(日) | 備 考 |
|---|---|---|---|---|
| 大阪府堺保健所 | 2名 | 堺保健所長 | - | - |
| 第1週 | 第2週 | 第3週 | 第4週 | |
|---|---|---|---|---|
| 月 | オリエンテーション
|
一般健康相談 HIV検査、相談 |
立入検査概要講義 医療事故防止対策講義 |
家庭訪問(難病) |
| ツ反検査 母子保健対策講義 |
こころの健康相談 | 循環器集団検診 はと号検診 |
||
| 火 | 精神保健福祉対策講義
|
家庭訪問(精神) | 院内感染対策講義 | 家庭・病院訪問(結核) |
結核対策講義
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こころの健康相談 | 立入検査 精神病院実地指導 |
立入検査 | |
| 水 | 精神グループワーク | 結核相談 | 精神グループワーク | 環境衛生監視 |
| 結核診査会 所内結核対策会議 |
ツ反判定 地域リハ講義 |
結核診査会 所内結核対策会議 |
健康教育 | |
| 木 | 食品衛生講義
|
健康危機管理図上演習 (感染症、バイオテロ) |
家庭訪問(精神 | 家庭訪問(難病) |
| 食品衛生監視 | 難病患者家族交流会 | 結核コホート会議 | 地域ケア会議 | |
| 金 | エイズ対策講義 感染症対策講義 |
家庭・病院訪問(結核) | 作業所、支援C実習 | 臨床研修総括
|
市町村保健C業務
|
病院HC結核連絡会議 | 家庭訪問(難病) |
地域保健・医療臨床研修では、当然ながら、大学病院や臨床研修病院といった大きな医療施設から外に出て臨床研修をすることになります。当然とは言いましたが、頭では分かっていても、いざやってみるとなると相当勝手が違います。なぜなら、患者が求める希望や要求が大病院とは異なるからです。それは時には医療機関では直接提供できない介護などのサービスであったり、検診であったり、健康相談サービスであったりします。しかし、そのようなサービスを提供している施設は地域、地域に必ずあり、それらを有効利用することが求められるのです。さらに、このような患者の要求は必ずしもストレートには表現されません。それをくみ取るには、問診、視診、触診、打診、聴診、嗅診(?)で医学的情報を収集するだけではなく、患者の希望を察知する「第六感」的なものも要求されます。この感覚が実はたいへん重要な要素なのですが、学生時代には教えられないし、大学病院で行う1年目の臨床研修でも習えない類のものでしょう。
地域保健・医療コースでは、一見医学・医療と関係のない様な住民サービスまでも視野に入れ、すでに習得した医学的技能をもとに、「第六感」も働かせて、患者を全人的に把握し、包括的なケアを提供する、というような医師になってもらうために、本臨床研修プログラムは設計されています。臨床研修医諸君も将来の方向はともかく、今は良いプライマリイ・ケアとは何か、良い一般医・家庭医とはどんな医者かを念頭において臨床研修して頂きたい、と思います。