小児科重点プログラム
研修科名
小児科
責任者
指導医
7名
受入人数
受け入れ枠は2名とします。
研修内容
この研修分野は、将来小児科医ならびに小児とかかわる頻度の高い診療科に進む予定の医師、また一般家庭医として小児と接する機会のある医師を対象に、小児科診療における高頻度に遭遇する疾患の初期診断と救急処置を含めた最小限必要なプライマリ・ケアを習得し、かつ学校・保健所検診業務をスムーズに行う基礎的能力を養うための研修を目的として作成されたものである。
小児科学の特徴は対象が常に発育しつつある人間であるという点である。小児科診療の研修については、疾患を細分化された臓器の病態としてとらえるのではなく全身の病態として理解する必要がある。また、小児科学は、常にこどもの心身両面の発育を通しての観察が要求される。そのため、診断・治療医学のみならず、予防医学や親子の両者を対象とした育児支援が占める比重も大きい。
まず、研修1年目の最初に小児科学の基礎を習得することにより、最小限必要な小児科プライマリ・ケア、よき医師としての基盤となるリサーチマインド、およびその後にローテートとする内科、救命、選択臨床科などにおいて、小児科医として必要な他科の知識・技能を体得する視点を得ることができる。
その後の研修では、小児科病棟における時間的余裕を持った研修をすることにより、小児の成育や病気の自然歴を見守っていく。また、クリニック、市中病院、遠隔地の病院、あるいは療育施設などの棲み分けや病診連携を生かした研修をすることで、小児科診療の社会的側面をも学ぶことができる。
この研修を通じて全人的、包括的な総合医療としての小児科診療の魅力を味わいつつ、その基礎を習得し、修了後には一人前の小児科医としての自立を目指す。大学病院のみならず、関連病院においても、私たちはアットホームな指導を心掛けており、将来の小児科専門医としてのキャリアパスを考慮したプログラムであると言うことができよう。
一般目標(GIO)
小児の特性や医療を理解し、小児科診療を適切に行うために必要な基礎的知識・手技・態度を習得する。
具体的目標(SBOs)
- 指導医・上級医の指導のもと、小児の生理的特性、小児の診療の特性、小児期の疾患の特性を学ぶ。
- 病児・母親などの家族との良好な関係を構築する。
- 医療面接、病児の心理状況の把握、小児の身体所見の取り方、小児特有の臨床検査結
果の解釈を習得し、チーム医療として病児への対処法を学ぶ。
- 小児の検査および治療に必要な医学知識、手技 (採血、注射、輸液、輸血などの管理、
導尿、高圧浣腸、胃洗浄、骨髄穿刺、腰椎穿刺など)、薬物療法 (小児に用いる薬剤の知識とその利用法、小児薬用量の計算法)を学ぶ。
- 成長発育に関する知識の習得と経験すべき症候・病態・疾患 (一覧を下表に示す)へ
の初期対応・治療を習得する。
- 小児救急医療での医療対応を習得する。
- 医療現場における安全の考え方、医療事故防止、院内感染対策に積極的に取り組み、安全管理の方策を習得する。
方略(LS)
- 指導医・上級医と一緒に患児の診療を担当し、患児・母親など家族への対応と医療面接、小児の身体所見の取り方について研修する。
- 頻度の高い症状や代表的な疾患に関しては、小児科病棟、NICUにおける実際の主治医として、指導医・上級医と一緒に担当し、診断、検査、治療方針について研修する。
- 小児の救急医療、緊急を要する症状・病態の初期治療に積極的に参加する。
- 外来実習・クリニック実習において、“common disease”の診かた、医療面接、対処方法や療法指導法を体得する。
- 回診、病棟カンファレンス、症例カンファレンス、読書会を通じて、主治医として発表・討議に参加することで研修の充実を図る。
- 将来小児科医ならびに小児とかかわる頻度の高い診療科に進む医師を目指すプログラムとして、病棟研修のみならず、NICU研修、クリニック研修、および市中病院での研修をも組み入れたスケジュールが設定されている。一方で、小児科という全人的、包括的な総合医療の基盤となり得る内科、救命救急、地域医療実習などでの研修も組み込まれており、EPOCなどの到達目標が達成されることにも当然に配慮がなされている。
研修施設の選択法
基本的診察技術や処置法は、主に近畿大学医学部附属病院で行い、救急医療、予防医学、小児の common disease に関しては、下記の協力病院でもトレーニングする予定です。
研修科目
以下の図に示すようなローテイションで研修を実施します。

1年目
- 小児科(3ヶ月)
- 大学病院で研修を開始することにより、小児科学・小児科診療の基礎作りをするとともに、カンファレンスや臨床研究を通じて、リサーチマインドを育むことで、単に病気を治せばよいという発想ではなく、何故治ったのかを academic に追求することができる、「違いのわかる、生涯に亘って考え・学ぶ小児科医」となる姿勢作りをしていきます。
- 内科】(6ヶ月)
- 内容については、初期臨床研修プログラムの内科を参照。
- 救急部門(3ヶ月)
- 内容については、初期臨床研修プログラムの救急部門を参照。
2年目
- 地域医療(1ヶ月)
- 内容については、初期臨床研修プログラムの地域医療を参照。とくに、都市圏から遠隔地となる串本病院において、地域での小児科診療や予防医学に参画していくことにより、一貫した小児地域医療を体得できます。
- 選択必修(2ヶ月)
- 外科、産婦人科、麻酔科、メンタルヘルス科の4科から選択可能。各診療科については、初期臨床研修プログラムを参照。
- 選択必修(1ヶ月)
- 麻酔科、産婦人科、メンタルヘルス科の3科から選択可能。各診療科については、初期臨床研修プログラムを参照。
- NICU(2ヶ月)
- 2か月間の継続したNICU研修により、他の小児科研修プログラムでは体験できない、1人の新生児をその誕生から成育過程を追った診療に携わることができます。同時に、さまざまな新生児疾患の自然歴を把握することができます。さらに、産科などとの病診連携や救急搬送などの新生児医療における社会的側面をも体験することができます。
- 小児科クリニック(1ヶ月)
- 小児科クリニック研修にも、1ヶ月間の余裕を持ったスケジュールが組まれています。近畿大学小児科学教室の諸先輩による、熱気溢れつつも温かい指導が展開されます。最前線の小児科診療のみならず、学校医としてのヘルスケア、予防接種や乳幼児健診などの小児保健の実際にも関与していきます。その中で、病院小児科との病診連携、クリニック運営の工夫、諸先生による診療のコツである「クリニカル・パール」なども体得していきます。
- 小児科市中病院(1ヶ月)
- 小児科クリニックで研修できる内容に加えて、入院を要する病児・小児疾患の大多数の診療に参画していきます。病院における病児の流れ、すなわち一般/救急外来、病棟での入院、そして退院後のフォローアップに接することができます。その中で、病院でのスタッフ間のチーム医療、病院側から見た病診連携を体得していきます。これも、時間的な余裕を持った小児科研修プログラムにより出来得る特徴です。
- 小児科関連選択(2ヶ月)
- 小児科指導医との相談により、各自の希望に応じた、より良い選択ができるように配慮していきます。将来の小児科専門医やサブスペシャリティを考慮した、前向きなアドヴァイスをします。
- 小児科(2ヶ月)
- 研修医1年目の小児科研修で身に付けたリサーチマインド、その後の内科、救急救命、あるいは麻酔科研修で体得した全身管理の基本を基に、大学病院小児科において研修を行っていきます。2ヶ月間の継続した研修により、大学病院ならではの血液疾患や腎疾患などの患児を長期フォローすることで、これら小児疾患の自然歴、治療や指導方針を知ることができます。
研修施設と指導者近畿大学堺病院を削除しています。それに伴い、次項の各施設番号が変わってきています。
| 施設名 | 定員 | 指導責任者 | 外来患者数 | 病床数 | 特色 |
| 近畿大学医学部附属病院 | 2 | 竹村 司 | 80 | 46(+ 新生児8床) | 症例の多様性 指導医の充実 |
| 済生会富田林病院 | 2 | 片岡 知 | 50-60 | 10 | 救急予防医学 |
| 市立貝塚病院 | 2 | 井碩 孝博 | 80-90 | 10 | 救急予防医学 |
| 串本町立病院 | 2 | 柳田 英彦 | 30(予想) | | 地域医療、予防医学
|
| ふくしまこどもクリニック | 2 | 福島 強次 | 50 | | プライマリケア |
| かなざきこどもクリニック | 2 | 金崎 光治 | 50 | | プライマリケア |
| 小児科八木医院 | 2 | 八木 和郎 | 50 | | プライマリケア |
各施設の研修内容と特徴
- 近畿大学医学部附属病院
- 指導医 指導責任者:竹村 司 教授
- 受け入れ人数*: 1期間あたり 2 名程度とする。
- 研修の方法および特徴
- 難治性腎疾患およびネフローゼ症候群・難治性小児白血病・悪性腫瘍・川崎病、小児先天性心疾患・小人症、糖尿病、内分泌疾患・未熟児・低出生体重児・てんかん、神経疾患・アレルギー疾患・小児心身症・不登校などの症例が充実しており、これらについての基礎的、専門的診断技術や治療を体験できる
- ハイリスク児の予防接種や発育支援外来、1ヵ月検診法を習得できる
- NMCSの機関病院として、未熟児やハイリスク児の治療と管理を経験できる
- 地域基幹病院として、近隣市町村の検診業務・予防医学・学校保健を体験できる
- 1次、2次救急医療を体験することができる
- 採血や輸液法以外の特殊な専門処置技術を経験できる
- 外来シュライバーとして、外来患者へのアプローチ法を学ぶことができる
- カンファレンスや抄読会を通じて疾患のより詳細な知識を習得できる
- 産科と連携して、胎児管理や周産期医療の実際に参加できる
- 小児医療におけるリスクマネージメント法のノーハウを学べる
- 週間予定表
| |
午前 |
午後 |
| 月 |
心臓カンファレンス |
終了後外来シュライバーおよび外来処置に参加する |
発達外来
乳児検診 |
| 火 |
モーニングカンファレンス
(AM 8:00)
腎生検 |
総回診
医局会・抄読会
腎カンファレンス |
| 水 |
|
アレルギー外来 |
| 木 |
|
脳波勉強会
イブニングセミナー
ワクチン外来 |
| 金 |
モーニングカンファレンス
(AM 8:00)
重症児回診 |
神経外来
血液カンファレンス |
| 土 |
モーニングセミナー |
|
- 近畿大学医学部堺病院小児科
- 指導医
指導責任者: 森口 直彦 教授
- 受入人数*:1期間あたり1-2名とする
- 診療・研修の特徴
本院は地域医療に密着した病院であるため、急性感染症の症例が多く、急性呼吸器感染症の他に髄膜脳炎、敗血症などの重症感染症の診断と治療を行っている。またアレルギー性疾患として、小児気管支喘息、アトピー性皮膚炎の患者も多い。そのほか、小児心身症患者のケアを臨床心理士の協力を得て行っている。一方、本院は地域診療の基幹病院であるため、様々な慢性疾患や特殊疾患の患者の診断と治療を行っている。
- 免疫疾患としては先天性免疫不全症、膠原病、関節リウマチ、SLE。
- 血液・腫瘍性疾患として白血病、先天性好中球減少症、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性疾患、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血。
- 腎疾患としてはネフローゼ、急性・慢性腎炎、尿路感染症。
- 神経疾患ではてんかん性疾患、精神発達遅延症。
- 循環器疾患として先天性心奇形、調律異常症。
- 新生児疾患は本院出生児についての異常のチェックと治療。
- 研修に関する週間スケジュール
| | 午前 | 午後 |
| 月 |
一般外来診療の補助と処置 |
乳児検診 |
病棟診療の補助と処置 |
| 火 | 心身症外来、アレルギー外来 |
| 水 | 心身症外来 |
| 木 | 心身症外来、ワクチン外来 |
| 金 | 循環器外来、血液外来 |
| 土 | 総括 | | |
- 済生会富田林病院 小児科
- 指導責任者 片岡 知 部長
- 受入人数*
1 期間あたり 1-2 名とする
- 診療・研修の特徴
- 血液疾患:溶血性・鉄欠乏性貧血、顆粒球減少症、特発性血小板減少性紫斑病、などの診断・治療を行っている。
- 感染・免疫疾患:麻疹、水痘等や小児の一般的な急性呼吸器・消化器感染症、さらに髄膜炎、敗血症などの重症感染症の診断と治療を行っている。また、若年性特発性関節炎,川崎病などの免疫疾患の診断と治療も行っている。
- 腎疾患:急性・慢性腎疾患の診断・治療を行っている。必要に応じて大学病院と連係し腎生検のもと、長期腎疾患患児の管理を行っている。
- アレルギー性疾患:気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの診療を行っている。
- 神経疾患:てんかん性疾患の診療を行っている。
- 心疾患:先天性心疾患、不整脈、川崎病の心合併症等の診断治療を小児心臓専門医のもとで行っている。
- 内分泌疾患:糖尿病の管理、下垂体性小人症の診断・治療を行っている。
- 新生児部門:産婦人科との連係を行い、低出生体重児、その他の周産期疾患を受け入れている。一般的な新生児疾患の診療を経験することができる。
- その他:院内および市の行政協力として保健センターなどで、1か月から3歳半までの健診を行っている。
- 研修に関する週間スケジュール
| | 午前 | 午後 |
| 月 |
一般外来診療の補助と処置
心臓外来 |
夜間救急輪番 |
| 火 | |
| 水 | |
| 木 |
ワクチン外来、心臓外来 |
| 金 |
健診 |
| 土 | |
- 市立貝塚病院 小児科
- 指導医責任者:井碩 孝博 部長
- 受入人数*:1期間あたりの受入人数は1-2 名とする。
- 診療、研修の特徴
- 腎臓疾患:小児腎臓外来を開設し,急性・慢性腎疾患の診療を行っている。
- アレルギー疾患:気管支喘息,アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の診療を行っている。
- 感染症疾患:小児の急性呼吸器感染症,髄膜炎,尿路感染症などの感染症の診断と治療を行っている。予防接種外来を行い予防医学的な診療を行っている。
- 救急:一次,二次の救急患児を受け入れ,診療を行っている。
- 週間予定表
| |
午前 |
午後 |
| 月 |
一般外来診療の補助と処置 |
循環器外来 |
神経外来 |
| 火 |
|
乳児検診(1 か月児) |
| 水 |
|
ワクチン |
| 木 |
症例検討会・輪読会
慢性疾患外来 |
乳児検診(1 か月児) |
| 金 |
慢性疾患外来 |
ワクチン、腎臓外来(第3週)、
夜間救急輪番 |
- 串本町立病院 小児科
- 指導医責任者:柳田 英彦 部長
- 受入人数*:1期間あたりの受入人数は1-2 名とする。
- 診療、研修の特徴
- 地域の第一線での小児科診療: 新生児から高校生を超える年齢までの小児保健活動 を行っている。最前線での小児科診療のみならず、予防接種、健診や学校保健などにも携わっていく。
- 神経疾患、腎疾患、アレルギー疾患、感染症疾患など: 幅広い領域に精通した指導医により、それらのプライマリ・ケアから長期指導までを一貫して行っている。
- 救急: 一次の救急患児を受け入れ,診療を行っている。
- ふくしまこどもクリニック
- 指導医:福島強次
- 受け入れ人数*:1~2名
- 診療研修の特徴:外来小児科学、臨床ワクチン学、乳幼児検診
- かなざきこどもクリニック
- 指導医:金崎光治
- 受け入れ人数*:1~2名
- 診療研修の特徴:外来小児科学、臨床ワクチン学、乳幼児検診
- 小児科 八木医院
- 指導医:八木 和郎
- 受け入れ人数*:1~2名
- 診療研修の特徴:外来小児科学
*上記の受け入れ人数枠は、基本プログラムでの人数との合計であり、各期間中の概数である。
評価(Ev)
各習得項目の GIO と SBO について、自己評価と指導医評価を行い、指導責任者(教授)が総括する。評価方法は、オンライン臨床研修評価システム(EPOC)および臨床研修センター独自の評価により行う。
それらの評価の基づき、研修内容の見直しが図られる。
責任者からの一
現在の医師に求められるものは、専門診療科は何であっても、多岐に渡る疾患のプライマリーの診断とケアを行うことの能力である。このプログラムを通じて、諸君が病気のこどもに接したとき、自分で診られる疾患か、小児専門医にゆだねるべきかの判断能力と応急処置法を習得するとともに、こどもと両親(保護者)を含めた適切な育児指導が行えるようになることを目標とする。
小児疾患は、“未熟児から思春期まで”、“急性疾患から慢性疾患まで”と、コンビニ医療と比喩されるごとく多彩である。時代背景や季節によっても扱う疾患が異なることも普通であり、事実、小児虐待や不登校などの心身症も増加傾向にある。また、小児夜間救急への対応は、小子化、核家族化の現在では避けては通れない重要な任務である。小児救急医療を通じて、両親(保護者)に対する育児支援やこどものありふれた疾患についての基礎知識や応急処置についても啓蒙してゆく必要がある。こどもは未来の宝である。心身ともに健全なこどもの発育を支援するためには、両親に対する教育、こどもを取り巻く環境を含めた指導力も要求される。すなわち、これからの小児科医は、こどもの病気の診断・治療という枠にとどまらず、育成医療も実行できる能力が要求される。
日本のよりよい未来を築くために、小児科医は、忙しくともやりがいのある仕事である。多くの小児医療の理解者が輩出されることを願ってやまない。